【プレスリリース】惑星の起源「ペブル集積」の証拠を 木星の巨大な月に見出す カリスト内部の「部分分化」が明らかにする 惑星と月の誕生の謎

2025.07.28

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当センターの芝池 諭人外部リンク特任助教は、木星の巨大な月(衛星)カリストの形成時の内部温度進化を、幅広い条件のもとで計算し、カリストの内部構造は、「ペブル集積」という形成メカニズムでなければ説明できないことを明らかにしました。

 

 これまで、衛星の形成メカニズムとして、およそ1キロメートルから100キロメートルサイズの「微衛星」を集積する「微衛星集積」と、およそ1センチメートルから1メートルサイズの「ペブル(小石)」を集積する「ペブル集積」の二つの説が提唱されてきましたが、どちらが主要なメカニズムか、決着はついていません。一方で、これまでの探査機による重力場測定により、カリスト内部の大半が未分化である可能性が指摘されています。

 本研究では、「部分分化」を維持するには内部が低温で保たれることが必要で、それは「ペブル集積」でなければ説明できないこと、「微衛星集積」では内部が高温となり分化が進んでしまうことが示されました。2030年代前半には、現在木星圏に向けて航行中のJUICE探査機(ESA主導・JAXA参画)が、カリストの内部構造の詳細を明らかにする予定です。カリストの「部分分化」が確認されれば、初めての「ペブル集積」の観測的証拠となる可能性があります。これは、衛星形成だけでなく、惑星形成の枠組みにも、非常に大きな進展をもたらすものです。

 

 

 


 研究の詳細につきましては、こちらよりご覧いただけます