天文学者としての私の紹介
私は、1999年
東北大学大学院理学研究科天文学専攻
で博士号の学位を取得し、
日本学術振興会特別研究員(DC1, PD) (文部科学省
国立天文台 水沢観測センター=現
水沢VLBI観測所
)、
欧州超長基線電波干渉法合同研究所(Joint Institute for Very Long Baseline Interferometry in Europe, JIVE)
支援研究員を経て、2003年9月より
鹿児島大学理学部物理科学科に助手として着任、
現在は総合教育機構
共通教育センターの准教授そして
理工学研究科附属
天の川銀河研究センターの兼務教員
として、天文学研究及び教育に従事しています。
私の研究テーマは、
超長基線電波干渉法
(VLBI) を駆使した
天体メーザー源の研究です。
天体メーザーは、星が生まれつつある領域(星形成領域)や、
年老いた末期の星(晩期型星周辺領域)に存在します。
これら天体に対してVLBIを用いて観測すれば、
これらの領域における精密なガスの運動を三次元的に眺めることができます。
こうして、星の進化のメカニズムが解明されていくのです。また、これら
天体メーザー
源の距離も直接推定することができ、広範囲の宇宙地図が将来作成されるでしょう。
私は、
いわば電波天文学における観測屋を自負しています。
国立天文台水沢VLBI観測所所有する
直径10mの電波望遠鏡とその周辺観測装置の整備を経験し、現在、
国立天文台の
VERA(天文広域精測望遠鏡)計画と
日本VLBI観測網(JVN、2005年より再編成)の推進に協力し、銀河系測量を進めつつ
将来の天文学分野の開拓にも努めています。また、
アメリカ国立電波天文台の
VLBA(Very Long Baseline Array) 及び
VLA(Very Large Array) 、
EVN (European VLBI Network)なども用いて、
幅広い観測に基づく天文学研究を進めています。
さらに、次世代巨大電波干渉計平方キロメータ電波干渉計 (SKA)
の実現とそれへの研究参加のために、
豪州SKAパスファインダー(AKSAP)を使った研究を国際協力チームと共に進めています。これを加速させる為に、
国際電波天文学研究センター=ICRAR、オーストラリア)
に2012年春から約1年間滞在しました。
現在はVERAの発展形とも言える
東アジアVLBI観測網(EAVN)
を使った3大観測プログラムの1つ
ESTEMA
を主導し、恒星の末期進化の解明を目指しています。
昨今の上記に見られる研究活動は、私一人では到底できません。国内外で研究者との交流を深め、研究チームを結成し、
時にはチームの一員として私の得意な手法で貢献し、
また時には私自身がチームを主導して仲間の助けを借りながら、観測装置を立ち上げ観測的研究を進めているところです。
この仲間の中に、大学生や大学院生も加わります。現在勤務している鹿児島大学の学生とは限りません。
この様に、天文学研究を通して、学生さんを巻き込んだ国際交流へと発展させるよう鋭意努力を続けています。