VLBI懇談会シンポジウム2025

2025年11月6, 7日にかけて、本学でVLBI懇談会シンポジウム2025が、翌8日に同シンポジウム学生セッションが開催されました。 本チームからはD1中島・M2笠井・B4川上の3名がポスター発表を行いました。 また、研究室代表の今井がLOC(Local Organizing Committee)を務め、研究室総出で本シンポジウムの運営に携わりました。

VLBI (Very Long Baseline Interferometry; 超長基線電波干渉法) とは、遠く離れた複数のパラボラアンテナを同時に使うことで、超大口径で極めて高い視力 (角分解能) を有する仮想的な望遠鏡を作る技術のことです。 この研究会は、VLBIに関する観測・測定・技術開発に関する近況・成果について発表し合い、新たな展開を見出す機会です。 トークテーマは地球大気からブラックホール、南極や月面天文台計画に至るまで多岐に渡り、学生参加が多いことが特長です。

D1中島は、韓国のVLBI観測網を用いて宇宙空間の分子ガス雲の最初期の姿を捉えようとする研究と、長野県の野邉山宇宙電波観測所において3周波数帯同時観測システムの開発を行うHINOTORIプロジェクトの成果発表の2つについて、ポスター発表をしました。 前者では、信号が弱くVLBIでの観測には向かないと考えられてきた分子吸収線の検出を、後者では単一鏡観測における3周波数帯同時観測システムのコミュニティへの供用をアピールし、その両方において複数の研究者と議論し、宣伝することができました。

M2の笠井はGASKAP-OHプロジェクトで得られたOH吸収データと既存のCO放射データを比較し、OHがCOでは捉えられない希薄な星間分子ガス雲をトレースしている可能性についてポスター発表を行いました。 本研究はVLBI観測技術を用いたものではありませんが、電波干渉計による星間物質研究との接点を持つ内容として紹介でき、多くの研究者にGASKAP-OHプロジェクトの取り組みを知っていただく機会となりました。

B4の川上はVERAを用いた天の川銀河中心SiOメーザー源アストロメトリに取り組む過程で開発した、VERA遅延補正ファイルの両偏波対応の活動をまとめ報告しました。 銀河系中心に分布するSiOメーザー源は非常に微弱であり、従来のVERAの感度では感度不足でした。そこで、メーザー源を観測するVERAのA-beamを両偏波受信に対応させ、新たな観測システムでメーザー源の観測を実行しました。このデータを解析する上で従来片偏波にしか対応していないVERAの遅延補正解を両偏波データにも読み込ませられるよう改良を行いました。

この研究会では、中島(一つ目のポスター)・笠井両名がポスター発表優秀賞に選出され、表彰していただきました。

さらに学生セッションでは、位置天文学のために建設された日本のVLBI望遠鏡で鹿児島県薩摩川内市にあるVERA入来観測局へ赴き、アンテナや観測棟の見学を行いました。 鹿児島大学から車で1時間ほどの距離にあるこの観測局では、鹿児島大学生が運用当番に入り、実際の観測・運用のサポートをしています。 すぐ近くに電波望遠鏡がある大学は少ないため、今回全国から参加した学生にとって、実際の観測やデータ取得の様子を目で見て感じられる絶好の機会だったと感じました。

今後も研究を続け、VLBIコミュニティの発展に資する成果を上げられるよう邁進していきます。

2025.12.13 執筆:D1中島 M2笠井 B4川上

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