2025年11月26日から28日にかけて、本学で 天の川銀河研究会2025 が開催されました。 この研究会は、観測対象・波長・手法の違いによって分断されがちな研究コミュニティを、「天の川銀河」という共通のキーワードのもとに横断的につなぐことを目的として、定期的に開催されているものです。 宇宙論的スケールから惑星系形成に至るまで幅広いサイエンステーマが特長で、分野横断的な議論を通じ、天の川銀河の総合的理解に向けた学際的な連携が図られます。 本チームからはD1中島・M2笠井・B3星野・B3岡﨑の4名がポスター発表を行いました。
今回の研究会で中島は、韓国のVLBI観測網を用いて宇宙空間の分子ガス雲の最初期の姿を捉えようとする研究について、ポスターにて発表しました。 初期観測により検出された分子吸収線から得られた分子ガスの位置や組成、複数回の観測結果の比較結果を紹介し、その解釈について議論しました。 本研究会を通し、星間ガスの理論シミュレーションを行う専門家と繋がることができ、今後も議論を続けていけることとなりました。 また、別の研究者からのコメントにより、観測結果の持つ別の価値にも気づくことができました。 さらに、中島は今回初めてLOC (Local Organizing Committee; 現地実行委員会) として研究会運営に携わりました。とても良い機会となりました。
M2の笠井はGASKAP-OHプロジェクトで得られたOHデータと既存のCOデータを比較し、OHがCOでは捉えられない希薄な星間分子ガス雲をトレースしている可能性について、VLBI懇談会での議論を踏まえたポスター発表を行いました。 観測・理論の両面から多くの議論を行い、これまで知らなかった関連論文やデータ、研究のアイデアをいただきました。年度末に向けた修士論文の提出に向けて、非常に有意義な議論の機会となりました。
B3の星野はALMA望遠鏡の複数観測データを用いて宇宙の噴水天体(恒星進化末期において双極分子ガス流、ジェットを有する天体)の一つであるW 43Aに付随する双極ジェットの放出機構についての研究をポスター発表しました。 双極ジェットに付随するCO(一酸化炭素)輝線に見られるガス塊の運動を複数の観測データ間で比較し、ガス塊を交互に放出するシナリオを提案しました。 今回の研究会で議論した内容を反映させて近々論文にまとめたいと考えています。
B3の岡﨑は、VLBA (Very Long Baseline Array) を用いた観測によって得られたミラ型変光星R CasとR LeoのSiOメーザーマップから、質量放出の等方性について考察するポスターを発表しました。 このポスターでは、本研究の結果と過去に同望遠鏡で観測された観測時期が異なるSiOメーザーマップとで比較を行うことで、質量放出が非等方であることを示しています。 研究会での同種の星を扱う方々との議論を通して、異なる視点からSiOメーザー放射が起こる環境について考える機会となりました。
今回いただいたコメントや得られた繋がりを大切にし、さらに議論を成熟させ、遠くないうちに論文としてまとめたいと思います。
2025.12.13 執筆:D1中島 M2笠井 B3星野 B3岡﨑