2026年2月12日にM2の笠井が「Early GASKAP-OH Absorption Science: Exploring the "CO-dark" molecular gas」というタイトルで修士論文発表を行いました。
COではトレースできない、希薄な「CO-dark ガス」の有力なトレーサーとして OH が挙げられます。 ASKAP 望遠鏡によるGASKAP-OH プロジェクトの OH 吸収線データと、Mopra望遠鏡による CO 輝線データを用いて両者の柱密度を比較しました。
その結果、OH と CO の柱密度の間にはおおむね相関が見られ、OH のみが検出される領域を確認できた。これらの結果は、GASKAP-OH プロジェクトの観測領域である天の川銀河の第 4 象限においても OH は CO に比べて、より低密度で薄く拡がった分子ガス領域を検出できる有効なトレーサーである可能性を示唆しています。
2026年2月13日にはB4の川上、大内、高嶋が卒業研究発表を行いました。
川上は「VERA両偏波および広帯域信号記録に基づくVERA 2-beam astrometryのデータ解析手法確立」というタイトルで発表しました。
近年、VERAの高感度化に伴い、A-beamは両偏波、B-beamは広帯域信号記録が可能となりました。
これらシステムを組み合わせたデータ記録レート12 Gbpsの観測モードで実行する2-beam astrometryのデータ解析手法を新たに開発し、その実用性を検証するべく、天の川銀河の中心核構成系円盤(NSD)内部に分布しているSiOメーザー源に対してVERA astrometryを実施しました。その結果、295.0 mJy/beamのpeak flux densityを持つSiOメーザー源を信号対雑音比7以上で検出することに成功し、解析手法の実用性を示しました。
大内は「COSMICデータを用いたETI信号候補抽出方法の探索」というタイトルで発表しました。
地球外知的生命体探査(SETI)では、電波望遠鏡で受信した信号の雑音に対する強度比や周波数方向での時間変化、地球由来の人工的な信号(RFI)との区別など、さまざまな視点からの信号の考察が大切となってきます。本研究ではVLAのSETIプロジェクトであるCOSMICのデータの再評価を行いました。
その結果からRFI帯域とされている中にも地球外からの信号の候補が存在したことから、一律な周波数帯域の除外だけでなく,個々の信号を詳細に評価する重要性が示唆されました。
高嶋は「「宇宙の噴水」天体に付随する水メーザーに見られる速度構造時間変動の分析」というタイトルで発表しました。
FLASHING(Finest Legacy Acquisitions of siO and HiO maser Ignitions by the Nobeyama Generation)プロジェクトで観測されているH20メーザー放射の長期モニタリングデータを用い、ダイナミックスペクトルと強度変動指標を組み合わせた速度構造時間変動の分析を行いました。
結果として、特定の速度範囲において変動点が連続して分布する特徴的な構造が確認され、速度成分が系統的に変化している可能性を示しています。
卒業研究発表では物理コースと宇宙コースからそれぞれ2名ずつのポスター賞の発表があり、本研究室から川上が賞を受賞しました。
M2の笠井とB4の高嶋はこれを最後に就職の道へと進み、B4の川上と大内は大学院へと進学します。今回の発表を糧として、今後の活躍を期待します。
2026.02.13 執筆:B4川上