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観測施設

#1. VERA

直径20mの電波望遠鏡を4台使った超長基線電波干渉計です。高精度な電波源三角測量を可能にする2視野同時観測システムを採用しています。2002年から科学運用中。

私たちのチームは、VERA入来局の運営に携わりながら、学術的なスキルを向上させています。具体的には、電波望遠鏡の運用、研究計画立案、ハード・ソフトウエアの開発、高水準の教育・社会普及活動などです。

VERA公式ホームページへ

#2. 45m電波望遠鏡

1982年から運用されている大型ミリ波電波望遠鏡で、20~116[GHz]の放射を高感度で受信します。この望遠鏡はEAVNのようなVLBI(超長基線電波干渉計)の1局としても活躍します。大口径、ユニークな光学系、多くの機材を配置できる望遠鏡下部機器室は、45鏡を使った新しい観測モードを可能にする装置の開発にも利用できます。

私たちのチームは、高感度の単一鏡観測とVLBI観測を実施するべく、頻繁に野辺山電波観測所を訪れます。現在実行中のプロジェクトは2つあり、進化終末星に付随するメーザー源のモニター観測(FLASHING計画へ)と3バンド同時観測システムの開発(HINOTORI計画へ)です。

野辺山宇宙電波観測所ホームページへ

#3. KaVA

KVNとVERAが一緒になったKaVAは、VLBI観測を実現するべく一斉に同期(天体追尾、周波数、記録機等について)される様に最も最適化された望遠鏡群のひとつです。KaVAのチームとは、2000年代初頭から頻繁に連絡を取り合っています。このチームはKaVAだけでなく大田(韓国)相関局の運営も行います。そこでは、KaVA/EAVNで取得された受信電波記録データが集めらます。データは相関処理後、天文学者の手に渡ります。

私たちのチームは、KaVA ESTAMA(Expanded Study on Stellar MAsers)などの大型プロジェクトを主導してきました。KaVA ESTEMAでは、メーザー源のスナップショット画像の取得とEAVNのモニター観測候補選出のため、水やSiOメーザーを持つ80の長期型変光星の観測をしました。

私たちのチームはまた、KaVAのチームと協力し、多周波同時観測と高精度位置天文観測のため、最先端のVLBI技術開発に取り組んでいます。

KaVA公式ホームページへ(英語)

#4. EAVN

東アジアVLBIネットワークは、2018年から科学観測を進めています。科学者や学生は、その観測提案が重要であると認められれば、お金を払わずにこのVLBI装置を使い、大規模なVLBI観測やコンパクトな天体の監視撮像観測をすることが可能です。EAVNは東アジア全域の電波望遠鏡から構成されており、日本の望遠鏡であるVERA、韓国のKVN、中国のCVN等が含まれます。時にはヨーロッパ、東南アジア、北アメリカ、オセアニアといった世界各国の望遠鏡と連携観測をすることもあります。

Figure credit: An T., Sohn B.W., & Imai H., Nature Astronomy 2, 118 (2018)

私たちのチームは、EAVNの大型プロジェクトのひとつであるESTEMA(EAVNによる天体メーザー動的画像の合成)事業を主導しています。この事業では、水や一酸化珪素メーザーが付随する長期型変光星の高頻度モニターを行います。

また私たちのチームは、EAVNにおいてより高いあるいは低い周波数帯でのVLBI観測の実現にも貢献しています。そのために、EAVNのチームと定期的な話し合いを重ね、試験観測の実施を担当しています。

EAVNのホームページへ(英語)

#5. ALMA

アルマ望遠鏡は、日本が建設・運営共に主要な貢献を果たしている国際的天文観測装置のひとつです。科学的運用は2011年から始まり、地球の大気による減衰の影響を最小限に抑えることができる高い標高で観測します。こうして、ミリ波・サブミリ波帯において太陽系近傍や初期宇宙に見られる様々な天体に関して新知見を開拓しています。

私たちのチームは、VLBI観測の結果を元に、より詳細な情報を求めてアルマ望遠鏡を使います。この様な観測によって私たちが成し得た重要な科学的発見のひとつは、たったの30分間の観測によるものでした。(この研究成果の詳細へ).

アルマ望遠鏡ホームページへ

#6. ASKAP

ASKAP(Australian Square Kilometre Array Pathfinder)はSKA(Square Kilometre Array)の1%規模相当の望遠鏡で、直径12mの望遠鏡36台で構成され、乾燥して平坦な地域である西オーストラリア地区にあります。位相配列型給電システムが各アンテナに設置され、30平方度の視野を生み出すことができます。

私たちのチームは、ASKAPの科学検討グループのメンバーたちと共同研究をしています。これにより、私たちとオーストラリアの人々との研究連携関係を保ち続ける上で良い機会を与えています。 そのような研究の代表例は GASKAP(Galactic ASKAP Spectral Line Survey)(英語)です。

ASKAPのホームページへ(英語)

#7. RadioAstron

ロシアが主導する宇宙空間VLBI事業で、"Spectr-R"と呼ばれる口径10mのパラボラアンテナを搭載した宇宙飛翔機を使います。RadioAstronは、日本のVSOP 計画

に次いで2番目に成功した宇宙空間VLBI事業です。RadioAstronは7マイクロ秒角という天文学史上最も高い解像度を達成しました。

私たちのチームはRadioAstron観測事業のひとつに携わっており、星形成領域にある明るい水メーザー源の観測によって、最も強い宇宙メーザーの放射メカニズムと大質量星の形成・成長過程との関係の解明に取り組んでいます。

Radioastronのホームページへ(英語)

現在進行中の

プロジェクト

#1. ESTEMA

EAVN天体メーザー動的画像合成プロジェクト(ESTEMA)は、2018年にスタートした星周物質縁にある一酸化珪素・水メーザーのモニター観測を数年に渡って行います。メーザー輝線の動的画像は22, 43, 86, 129 [GHz]の同時VLBI観測で取得でき、星の質量損失の力学的過程の解明に役立ちます。具体的には、星の脈動によって引き起こされる急激な質量放出流の加速や、星表面の非均一性による非均一な質量放出などの仕組みの解明が期待されます。

#2. FLASHING

FLASHING(The Finest Legacy Acquisitions of SiO-/H2O-maser Ignitions by Noveyama Generation)は、"噴水"の様な特徴を持った双極高速ガス噴出流(ジェット)に付随する一酸化珪素/水メーザーが付随した進化末期星のモニター観測をしています。質量放出が止まり惑星状星雲に進化する段階にあるこのような天体は、天の川銀河全体で20個程しか発見されておらず、10~100年という一瞬の間に最大質量損失を成してこの様な天体が見られる期間を終えてしまうことの、間接的な証拠になっています。FLASHING の目的は、これらの天体による質量放出の発達と衰退をリアルタイムでモニターすることです。野辺山45m電波望遠鏡は高感度かつHINOTORIプロジェクトで開発された特別な光学系を使い、これらの微弱メーザー源を効率良く観測することができます。

#3. NESS-NRO

NESS(the Nearby Evolved Stars Survey)は、長期型変動星の星周物質縁に対する撮像を、GEMINIなどの光学望遠鏡、JCMT(James-Clark-Maxwell Telescope)やサブミリ波干渉計であるSMAやALMA、大口径のLMTなどを使って実施します。野辺山45m望遠鏡はNESSで使われる望遠鏡の一つとして2018年--2023年に観測実施されました。NESS-NROの観測対象は、一酸化炭素が最も低い回転準位における遷移に見られる放射で、周波数は110[GHz]と115[GHz]です。一酸化炭素は質量放出の履歴を残していると期待される星周物質縁の最外縁に分布する冷たいガスの指標になります。

#4. HINOTORI

HINOTORI(The Hybrid Integration Project in Nobeyama, Triple-band ORIented)プロジェクトは、3バンド(22/43/86[GHz])同時受信機システムを立ち上げるため、野辺山45m望遠鏡の光学系やVLBIのバックエンドシステムをアップグレードする目的の事業です。そのシステムを使いESTEMA事業に参加します。HINOTORIは、鹿児島大学、山口大学、大阪公立大学、そして国立天文台水沢・野辺山との共同研究事業です。

#5. SKA

SKA(The Square Kilometre Array)は2022年から建設開始された世界最大の次世代電波望遠鏡計画であり、南アフリカ、オーストラリア、そして電波望遠鏡を運用するその近傍諸国で運用が行われます。私たちのチームは、日本の研究者がSKAに貢献しSKAを使った科学研究ができるように活動するべく、日本SKAコンソーシアム(SKA-JP)に参加しています。SKA建設段階では、VERAがSKAの先駆的電波望遠鏡の一つとして、新しい観測の実践や技術開発に使われます。

#5. International Collaborations in Observations and Researchs

私たちのチームには他に、準メンバーとして参加している国際プロジェクトもあります。研究室メンバーは、これら国際プロジェクトで新しい共同研究の機会を通して海外経験などの研究キャリアを積むことになります。私たちが幅広い分野の面白い研究に取り組むことができるのは、電波天文学・電波干渉計における国際的ネットワークのおかげです。

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